「旅愁」

真っ赤

 <晴れ>

快晴。朝は厳しい寒さだったが、昼間は風もなく過ごしやすかった。



歩いていたらうしろから「ふけゆく秋の夜、旅の空のぉ」という歌が近づいてきた。振り返ると自転車に乗ったおじいさんが、大きな声で気持ちよさそうに歌っていたのだ。そしてそれに続けて「たったたたー、たーらららー」と歌詞をごまかしながらわたしの横を通り過ぎ、サビ部分の「恋しやふるさと、なつかし父母ぁ」で歌詞が出た。そして再び頭にもどり、「ふけゆくー」が始まった。おじいさんが遠くに去っても「たったたたー」は聞こえていた。エンドレスで歌っているもよう。



東京国際女子マラソン、なくなっちゃうんだね。松田千絵さんを見るのが楽しみだったのに。第1回の優勝者はスミス夫人。この選手名からして、一昔前だ。走りながらハンカチで口を覆い、ハンカチのなかにツバを吐いていた姿が上品で、すごく印象的だった。佐々木七恵とかカトリン・ドーレとかロサ・モタとか、記憶に残る選手ばかりだ。