宝もの

ピンクの山茶花

 <晴れ>

おおむね晴れだが、ときどき曇る。


目が覚めたとき、夢がまだ続いていたようで、なぜか水色の横長の封筒の映像が頭から離れない。焦って手で開けたので、フタ部分がびりびりに破れている封筒。空ける前から、ほんとうは中身が空っぽだということはわかっている。そんなおかしな夢だが、寝ぼけていたため、ベッドの上でからだを起こしてからも、しばらくは夢だか現実だかわからなかった。



山茶花が咲いた。これからどんどん咲き誇る。


ユズはもう摘んでもおいしいのだろうか。もっと黄色くなってからのほうがいい?



信号で停まっている車の若いドライバーが、窓を全開にして大声で歌っていた。お坊さんみたいだったが、歌っていたのはラップ? それとも読経の練習?


学校帰りの小学校低学年ぐらいの、知らない男の子と目が合ったら、「こんにちは」と言ってくれたので、「こんにちは」と応える。手に小石を持っていたので、「なにを持ってるの」と尋ねると、「石。つるつるした石」と、手のひらを広げて見せてくれた。小さな丸い石ばかりが7〜8個。「きれいでしょう」と。宝ものを見せてくれてありがとうね。


銀行のATMの列に並んでいたら、前のおじさんが通帳を開いて見ていた。堂々と、というより、人に見せたがっているように、見ていた。たまたま今日のわたしは眼鏡をかけていたので、チラッと見た。1900万円ぐらいの入金があり、残高が1400万円以上あった。退職金かな。数日のうちに消えた500万円は、何に使ったんでしょう。こうやって堂々と見ているのは、危険だよ。わたしがすばらしい記憶力の持ち主なら、通帳の表に書かれた名義や口座番号だって暗記してしまえるほど、通帳を開いたり閉じたりしていたから。危ないよ。


サランラップを買う目的で、スズキヤの2階に行く。そして30〜40分、店内をうろうろする。雑誌の立ち読みをしたり、口紅の色を見たり、石鹸の香りを嗅いだり、キッチン雑貨を見たり。
もしかしたらここは、逗子の店のなかで、いちばん好きな店かもしれない。